自己破産の相談では、どんなことを話すの?
「自己破産を考えているけれど、弁護士に何を聞かれるんだろう?」
初めて弁護士に相談する方にとっては、少し緊張するかもしれません。
「借金の原因を詳しく聞かれるのかな」
「ギャンブルや浪費が原因でも大丈夫なのかな」
「財産についても全部話さないといけないのかな」
いろいろな不安があると思います。
自己破産の相談では、弁護士が現在の生活状況や借金、財産などについて一つ一つ確認していきます。
今回は、自己破産の相談でどんなことを聞かれるのか、そして相談するときに気をつけておきたいことについて、できるだけ分かりやすく説明します。
1 弁護士からは、どんなことを聞かれるの?
① どうして借金をすることになったのか
まず、「なぜ借金が増えてしまったのか」ということをお聞きします。
たとえば、
- 生活費が足りなかった
- 病気や失業などで収入が減った
- 事業に失敗した
- クレジットカードの利用が増えてしまった
- ギャンブルをしてしまった
- 買い物などでお金を使いすぎてしまった
など、借金の理由は人によってさまざまです。
また、「いつ頃から借金が増えていったのか」「いつ頃から返済が苦しくなったのか」といったことも確認します。
ここで大切なのは、できるだけ正直に話すことです。
「ギャンブルが原因なので、怒られるのではないか」と心配される方もいます。
しかし、弁護士にとって大切なのは、相談者の方を責めることではありません。
実際の状況を正確に把握して、その状況に合った解決方法を考えることです。
② 現在の収入と生活費はどれくらいか
次に、現在の生活について確認します。
たとえば、
- 給料はいくらか
- ボーナスはあるか
- 家賃はいくらか
- 食費はいくらくらいか
- 電気・ガス・水道代はいくらか
- 携帯電話やインターネット代はいくらか
- 子どもの養育費などの支払いがあるか
といったことです。
給与明細や源泉徴収票などを見ながら確認することもあります。
また、借金についても、
「どこからいくら借りているのか」
「毎月いくら返済しているのか」
「滞納しているものはあるのか」
などを確認します。
税金や健康保険料、公共料金などに滞納がある場合には、そのことについてもお話しください。
③ どんな財産を持っているのか
自己破産では、借金だけでなく、財産についても確認する必要があります。
たとえば、
- 自宅や土地などの不動産
- 自動車
- 預貯金
- 株式や投資信託
- 生命保険
- 退職金
- 貴金属や美術品などの価値のあるもの
などです。
「こんなものまで話すの?」と思われるかもしれません。
しかし、自己破産では財産の状況を正確に把握することがとても重要です。
大切なのは、「これは関係ないだろう」と自分で判断して隠さないことです。
分からないものがあれば、「これはどうでしょう?」と弁護士に聞いていただければ大丈夫です。
もし、弁護士に伝えなかった財産が、自己破産の申立て後に管財人などの調査で判明した場合は、ひどい場合
は免責が受けられないといった結果も考えられますので、正直にはなすようにしてください。
④ 借入先はどこか
借金については、借入先ごとに確認します。
消費者金融、クレジットカード会社、銀行など、どこからいくら借りているのか。
いつ頃借りたのか。
現在どのくらい残っているのか。
保証人がいる借金なのか。
住宅ローンなど、担保が付いている借金なのか。
こうしたことを一つずつ確認していきます。
「何社から借りたか、もう自分でもよく分からない」という場合でも、心配する必要はありません。
分かる範囲でお話しいただければ、そこから整理していきます。
⑤ ギャンブルや浪費などについて
自己破産の相談では、ギャンブルや浪費、クレジットカードの現金化などについて確認することがあります。
また、
- 過去に自己破産や個人再生などをしたことがあるか
- 財産を隠したことがないか
- 特定の債権者だけに返済していないか
- クレジットカードの現金化をしていないか
などについても確認します。
これは、相談者の方を責めるために聞いているわけではありません。
自己破産では、こうした事情が手続や免責に影響することがあるため、最初の段階で正確に把握しておく必要があるからです。
たとえ問題になりそうな事情があったとしても、まずは弁護士に話してみてください。
事情によっては、裁判所に事情を説明することによって免責が認められる可能性もあります。
⑥ 家族について
配偶者や子どもなど、家族構成についても確認します。
家族の収入や、家族名義の財産などについてお聞きすることもあります。
「自分が自己破産するのに、どうして家族のことまで聞くの?」
と思われるかもしれません。
これも、家計全体の状況や財産関係を確認するために必要な場合があるからです。
⑦ これまでの債務整理や差押えなどについて
過去に、
- 任意整理をしたことがある
- 個人再生をしたことがある
- 自己破産をしたことがある
- 裁判を起こされたことがある
- 給料や預貯金を差し押さえられたことがある
といった事情があれば、それについてもお話しください。
生活保護や障害年金などの公的な給付を受けている場合も、そのことを伝えてください。
2 相談するとき、一番大切なこと
自己破産の相談で一番大切なのは、**「正直に話すこと」**です。
たとえば、
「ギャンブルでかなりお金を使ってしまった」
「クレジットカードを使いすぎてしまった」
「家族にも借金のことを話していない」
「実は預金口座がほかにもある」
といったことがあっても、できるだけそのまま話してください。
弁護士は、相談者の方を責めるために話を聞いているのではありません。
むしろ、最初から正確な事情を把握しておくことによって、
「自己破産がよいのか」
「個人再生という方法があるのか」
「任意整理で解決できないか」
など、別の方法も含めて考えることができます。
たとえば、住宅ローンを抱えていて「自宅を手放したくない」という場合には、自己破産ではなく個人再生が適しているケースもあります。
反対に、自己破産をした方が生活を立て直しやすいケースもあります。
そのため、弁護士との最初の相談は、単に「借金がいくらあるか」を確認するだけの場ではありません。
その人にとって、これからどのように生活を立て直していくのが一番よいのかを一緒に考える場でもあります。
3 「こんなことを話していいのかな」と思っても大丈夫
自己破産を考えるほど借金が増えてしまうと、
「自分が悪いから仕方がない」
「こんなことを弁護士に話すのは恥ずかしい」
と、一人で抱え込んでしまう方もいます。
しかし、弁護士に相談する段階では、きれいに整理された説明ができなくても大丈夫です。
「いつ、どこから、いくら借りたのか分からない」
「借金が増えた理由をうまく説明できない」
という状態でも、分かるところから一緒に整理していけばいいのです。
そして、弁護士から質問を受けたら、分かる範囲でできるだけ正確に答えてください。
分からないことは、「分かりません」と答えても構いません。
大切なのは、自分に都合の悪いことも含めて、ありのままの状況を伝えることです。
その情報があって初めて、弁護士は、その方にとって一番適した解決方法を考えることができます。
自己破産は、人生を終わらせるための手続ではありません。
借金の問題を整理して、もう一度生活を立て直していくための制度です。
「こんな状態でも相談していいのだろうか」と思ったときこそ、一人で悩まず、まずは専門家に相談してみることが大切です。
